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There Is No Place Like Home (我が家に勝るものなし)♪

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北九州小倉在住の  【ハウスキーピングDeux】のつぶやき

近頃の読書②

インドクリスタル」。
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久しぶりに怒涛の大作味わったーって充実感。
篠田節子氏も「女たちのジハード」を読んで以来ご無沙汰。やっと二冊目。
「すずらん本屋堂」でゲストの林真理子が、「オススメの本」にこれを挙げていたので。

水晶を求めてインド東部に飛ぶ中小企業の社長が主人公。
この水晶は惑星探査機用部品用。でも占い用と現地で偽っている。
パワーストーン好きな知り合いがいて、水晶を含んで玄関にも吊るしてあるのだが、
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こういうのも元はインドが原産なのかなぁ、などと
本を読んでいなければ飛びもしない思考回路が。

インド。
表向き「カースト制度は過去のモノ」。しかし、厳然と存在する絶対的な差別主義。
口で言ってもわからないだろうと鼻から思い、暴力でかしずかせる習慣。
日本社会とは全く価値基準が異なる世界。
クライアントさんの話だが、中国の次はインドに赴任されたご主人がいるという。
中国人との交渉はまだわかりあえた、
だがインド人とは一筋縄じゃいかない、と。
別の繊維関係の商社ウーマンは、中国人より韓国人の方がよっぽど仕事しやすい・・・らしい。
となると、日本より遠くなればなるほど、相手の心が測り難く、交渉し辛い?

このラスト、
「そしてつぶやく。
君の物語はまだ終わってはいない、と。」
なにか、沢木耕太郎氏のエッセイの余韻に通じるものがあるような・・・響きました。
そう、もうひとりの主人公ロサのその後の物語、とても気になる!

チーズと塩と豆と」。
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角田光代氏の愛猫ブログ「トトほほ日記」が好きなだけで、
あと、3冊の旅エッセイ読んだ位。
映像化された「八日目の蝉」や「空中庭園」はストーリーが暗くて、ちょっとダメ。
それで短編から入ろうと、これを借りてみた。初の小説だな。

四人の直木賞作家が描く、ヨーロッパを舞台に”食”をテーマにしたアンソロジー集。
NHK BSハイビジョンで放送された紀行ドキュメンタリーの原作だそう。
見逃したのが残念。
彼女はスペインのバスク地方、
井上荒野氏はイタリア北部ピエモンテ、
森絵都氏はフランスブルターニュ、
江國香織氏はポルトガルのアレンテージョ。
どこも首都から離れた地方都市というか、ほぼ田舎かもしれないところが舞台。
そこに絡んでくる「食」。
本の装丁だけで、こんなに旅情を感じるのもうれしい。
額に入れたいぐらいステキ。

日本人が絡むわけでもなく、
そこで生まれ育って、故に反発してはブーメランのように故郷に戻っていくその国の人間たちが主役。
えー、こういうの珍しくないですか?
「インドクリスタル」はインドが舞台とはいえ、主人公は日本人男性ですからね。

「角田光代」で手に取った本だからかな、
彼女のエピソードが一番面白かった。
先程は「インドクリスタル」のラストだったが、
このラストも忘れがたい。
「母の声が聞こえる。
…それで、あなたはちゃんと食べてるの?
…食べてるわよ、大丈夫。」

次が井上荒野かな。
おととい「勝山母と子の図書館」でボランティアやってたら、
「森絵都」作の絵本が目に留まって、
あれ、あの人かしら・・・?
と半信半疑だったんだけれど、彼女は児童文学がスタートだったのね。

こんな風に、何気ないきっかけで、心に留まっていく小説や小説家が増える過程が好き。
ちょうど明日から秋。
そうでなくても、今年は秋の気配が例年より早くて、
じっくりゆっくりの読書タイムが嬉しい。

(Y.F.)
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by seirisyunou-deux | 2015-08-31 07:56 |

by 藤崎 裕子